STUDIO tuuli

2024.06.01

ラジオ「凪のお暇」
write|Nagi Aosumi
illustration|Yuya Takahashi
nami nami radio

宮城県塩竈市のコミュニティfm「BAYWAVE」にて、2024年1月からスタートしたラジオ番組「nami nami radio」のゲストコーナーに出演させていただきました。

コーナータイトルは「凪のお暇」
1月〜3月の3ヶ月間/毎月第3・第4金曜日の全6回に渡って、私の趣味である美術館の歩き方や展覧会の楽しみ方についてお話ししました。

この記事では、「凪のお暇」の各回でお話しした内容を簡単にまとめています。
まだ聴いてない!という方も、もう聴いたけど最初からおさらいしたい!という方も、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

nami nami radio

「nami nami radio」は、宮城県内外の展覧会情報をお伝えしたり、幅広い芸術分野に特化したゲストにお話を聞くことで、リスナーさんと一緒にアートを体感していく…
「聴くとアートに触れたくなる30分間」を目指して、聴く人の心をなみなみに満たすラジオ番組です。

宮城県塩竈市のコミュニティfm「BAYWAVE」にて毎週金曜日16:30〜放送中。
(再放送は日曜日12:30〜)

パーソナリティを務めるのは、ミニマル和柄デザイナーであり三味線奏者のYUYAさん
「凪のお暇」のメインビジュアルもYUYAさんが描いてくださいました!

第1回|自己紹介とコーナー説明

1月19日(金)の初回放送では、私の自己紹介とゲストコーナー「凪のお暇」についての説明をしました。

実は「凪のお暇」は生放送ではなく2本撮りの収録だったのですが、改めて初回放送を聴き直すと私もYUYAさんも緊張していて、かしこまった雰囲気の放送になっていました。笑

ここでも改めてコーナーについてご紹介をすると、
YUYAさん含め「美術館やアートギャラリーに興味があるけど、ちょっと敷居が高いなぁ」という方へ向けて、美術館めぐりと建築めぐりが趣味の私が展覧会の楽しみ方をお伝えするという内容です。

2023年は多い月で9つの展覧会に行くほど、アートに溺れた1年でした。
展覧会レポートもまとめているので、気になる方はぜひ。

YUYAさんとは3年ほど前からInstagramでやり取りをしていて、実際に初めてお会いしたのは2023年の夏。
それから同年11月に東京のジャズクラブで開催された、ヴァイオリニストのソロコンサートに誘っていただき、半年間でグッと距離が縮まった気がします。

お互い好みのデザインやイラストの系統が似ていたり、独学でクリエイティブな仕事をしているという共通点もあり、すぐに意気投合。

美術館めぐりは一人で行くことが多く、展覧会の感想やアートについて語り合える相手がいなかったので、私の熱量高めのトークを「うんうん」と笑顔で聴いてくれるYUYAさんがまるで仏様のように見えました。笑

第2回|展覧会の探し方

1月19日(金)の放送では、STEP1として「どこで展覧会情報を見つけるの?」という話。

私は主にTokyo Art BeatのInstagramで情報収集をしています。(アプリもあります!)
Tokyoという名前ですが、実際は日本全国の美術館・ギャラリーでの展覧会情報を網羅しているメディアです。

他にも美術手帖や都内の美術館の公式アカウントもチェックしています。
そして、気になった展覧会の投稿を保存して「行きたい展覧会」コレクションを作成しています。

まずはお近くの美術館やギャラリーのSNSをフォローしてみてください!

第3回|展覧会の歩き方

2月16日(金)の放送では、STEP2として「実際に展覧会をどのようにめぐっているか」という話。

と、その前に「展覧会の種類」について少しお話しすると…
展覧会には会期があり、何ヶ月もやっているものから、たった1日で終わってしまうものまで様々です。
「常設展」は名前の通り、いつでも観ることのできる展覧会です。
規模の大きな美術館やギャラリーでは「企画展」「特別展」と言われるものが、数ヶ月スパンで開催されています。
その他、個人の作品だけを集めて行う「個展」や複数人で行う「グループ展」など、展覧会と言っても色んな種類があります。

また、展覧会の開催場所も様々です。美術館、ギャラリー、店舗の一角、野外など…。

まずは、第1回でご紹介した「行きたい展覧会」コレクションの中から一番会期が短いものを選んで、その周辺で開催されている展覧会も1〜2つピックアップします。
私の場合は土日のどちらかをArt Dayにして、1日に複数の展覧会をハシゴすることが多いです。

一度アートに集中すると色んな感覚が研ぎ澄まされてきて、アドレナリン?のようなものが出るのか、軽くハイな状態になります。
ラジオ内では「感受性が豊かな状態」=「感受性ハイ」なんて呼んでいました。笑

個人的には「感受性ハイ」で展覧会を複数はしごしてしまうのがおすすめです。
展覧会ごとに異なる作品の色を比較して楽しむこともできます。

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そして、放送の後半では「好みのアートの見つけ方」についてもお話ししました。

「アートって難しくてよく分からない」
「展覧会を見に行っても、つまらなかったらどうしよう…」
「そもそもアートにあまり興味がないかも?」という方へ。

正直、私も「この展覧会は刺さらなかったなぁ」なんてことはよくあります。
でも、もしはじめて行った展覧会がつまらなくても、そこでアートから距離を置かないで欲しいのです…!

アートにも合う・合わないがあるのは当たり前。
食べ物や音楽と同じです。人それぞれ好みがあります。
きっと誰にでもキュンとくるアートがあるはずです。
そんなアートに出会えるまで、気長に展覧会めぐりを続けてみてください。

そうすると徐々に
「ダリ等のアート(シュルレアリスム)がクセになる!」
「現代アートは難しいけど、印象派の絵画は親しみやすいな」
「体験型のインスタレーションが楽しくて好き」など自分の好みが分かってくると思います。

第4回|初心者向け・展覧会の楽しみ方

2月25日(日)の放送では、STEP3として初心者向けの「展覧会の楽しみ方」についてお話ししました。

前回の続き。
展覧会初心者の方が「美術館でアート鑑賞をする」ことに対して、ハードルが高く感じている理由の一つに「アートを理解できるのか。つまらなかったらどうしよう…」という不安があると思います。

もし、初めて行った展覧会がつまらなくても大丈夫!
美術館には展示以外の楽しみ方があります。

それは「ミュージアムショップ」
ミュージアムショップには開催中の展覧会の図録やアーティストのアートブックがメインコーナーで販売されています。
それ以外にも様々なジャンルのアート書籍や絵本、アパレル雑貨、インテリア雑貨、食品まで販売しているショップもあります。

私の中でのミュージアムショップは「アーティスティックでお洒落な雑貨屋さん」です。
特別展のチケットを買わないと入れない限定ショップもありますが、常設ショップは誰でも無料で入れるので、「今日は展覧会は観ないけど、友達の誕生日プレゼントを探しにちょっくらミュージアムショップへ。」なんてこともよくあります。

さらにはカフェやレストランが併設されている美術館もあります。
展示を見ていて「なんか刺さらないなぁ。この展覧会はタイプじゃなかったなぁ」と思っても大丈夫!
「ショップ楽しみだなぁ。カフェも併設されてたよね、何食べよっかなぁ」と気持ちの切り替えが大事です。笑

あとは、美術館の建物自体や展示の仕方に注目して見るのも楽しいです。
私は建築デザイン学科卒業なので、美術館自体をよく見ています。
(美術館めぐりは建築めぐりにもなる。)

都内で私がよく行く建築が美しい美術館
・21_21DESIGN SIGHT
・東京都現代美術館
・国立新美術館

東京以外で最近行った建築が美しい美術館
・せんだいメディアテーク(建築学生の憧れ!)
・角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)
・下瀬美術館(広島県大竹市)

第5回|上級者向け・展覧会の楽しみ方

3月15日(金)の放送では、STEP4として上級者向けの「展覧会の楽しみ方」についてお話ししました。

趣味は「美術館めぐりです」と言えるようになってきた方へ。
展覧会の楽しみ方の終着点は、ずばり「自分で展覧会をやってみること」です。

すごくハードルが高く聞こえるかもしれませんが、実は意外と簡単で、展示するものさえあれば誰でも気軽に展覧会を開くことができます。

私も2021年に初個展を開きました。
デザイナーなので、過去の作品を展示したのかな?と思われがちですが、展示したのはまさかの「寝癖の写真」です。

私は寝癖がひどいのですが、ある日「これはもはや芸術作品なのでは?」と思いはじめて。
2020年〜2021年にかけて気が狂ったように毎朝寝癖の写真を撮ってInstagram(@nagi_neguse)にアップしていました。気がついたらその数、600枚以上。

それを見た知り合いのアートディレクターに個展開いてみたら?と言われ、「凪の寝癖展」と題して、1年365日の寝癖写真を並べて展示してみたわけです。

お客さんにも「寝起き感」を感じて欲しくて、会場の中央にふとんを敷いてみた

家族には「有名なアーティストじゃないのに展覧会なんか開けるの?」「入場料はいくら?利益出るの?」と心配されましたが、営利目的ではなかったので、趣味の一つとして「展覧会を開く」を楽しむことができました。(かかった費用は、交通費を抜くと月2〜3回飲みに行くより安いくらい。金銭的にも趣味の範囲内です。)

今まで色んな展覧会を観てきたあなたなら、きっと「理想の展示」を想像できると思います。
趣味で集めているクッキー缶、毎日撮っているお弁当の写真など…
自分が行ってみたい!と思う展示を自分自身でやってみるのはいかがでしょうか

第6回|GWに行ってみたい展覧会

3月22日(金)の最終回では、「GWに行ってみたい展覧会」をいくつかご紹介しました。

<都内>

「マティス 自由なフォルム展」@国立新美術館
2024年2月14日(水)~2024年5月27日(月)

「北欧の神秘 ーノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画ー」@SOMPO美術館
2024年3月23日(土)~2024年6月9日(日)

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」@東京ステーションギャラリー
2024年4月27日(土)~2024年6月23日(日)

<東北>

「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」@青森県立美術館
2024年3月20日(水・祝)~2024年5月12日(日)

「生誕120周年サルバドール・ダリ ー天才の秘密ー」@諸橋近代美術館
2024年4月20日(土)~2024年9月1日(日)

各展覧会の詳細が気になる方はラジオで熱く語っているのでぜひ。

番外編|お疲れさま会 Podcast

3か月に渡って全6回のゲストコーナー「凪のお暇」を担当させていただいたわけですが、コーナー枠は1回あたり10~15分と短く、正直全然語りきれなかったです。

ということで、番組内では語りきれなかったYUYAさんとの熱いトークを、時間を気にせずのんびり話す打ち上げPodcastを後日収録しました。

収録前にYUYAさんから「お酒片手にコース仕立てでいきましょう!」とご連絡いただき、以下の内容でトークをしました。

<前菜>
・乾杯
・凪のお暇 振り返ってどう?
・積極的なSNS、2人の出会いのお話

<魚料理>
・ライブとか行く?
・2人の今興味があること

<肉料理>
・好きなデザインのお話

<メインディッシュ>
・デザイナーとアーティストの違い
・AIイラストについて

<デザート>
・建築のフェチポイント
・暮らしに紐付くデザイン

付けば2時間弱のボリュームに。
前半はゆるりと雑談トーク、後半はちょっと真面目なトークをしています。

Spotifyでお聴きいただけるので、作業用BGMにでもどうぞ!
「凪のお暇 お疲れさま会」

さいごに

今回の「凪のお暇」では、人生で初めて声を使った発信に挑戦しました。

「ただの趣味」だった美術館めぐりを「言語化して誰かに伝える」ことで、改めて自分自身とその行為に向き合い、「ただの趣味」の中にもマイルールやこだわりがあることに気づきました。
いつも頭のどこかで「次のラジオでは何を話そうか」と考えていて、とても楽しい3か月を過ごさせていただきました。
このような機会をくださったYUYAさんには、心から感謝しています。

コーナー名の「凪のお暇」は、
「休みの日に、暇さえあれば美術館めぐりをしている」ということからネーミングしたものです。

あなたの「暇さえあればしていること」は何ですか?