今回の旅先をバルセロナにした理由の一つがガウディ建築。
私が建築学生の頃、ウィーン工科大学とのワークショップでしばらくオーストリアに滞在しました。
滞在中のプチ旅行でハンガリー&チェコ組とスペイン組に分かれ、私はハンガリー&チェコを選んだのですが、後ほどスペイン組から「サグラダ・ファミリアが本当に素晴らしかった。君たちは残念な選択をしたね。」と言われ、少し後悔したのを覚えています。
その時のリベンジを果たすべく、旅の目的を「サグラダ・ファミリア含めガウディ建築をめぐる」とし(あと美味しいスペイン料理をたらふく食べる)、円安真っ只中に海を越え、首都マドリードには目もくれず地中海の都市を訪れたわけです。
Casa Milà|カサ・ミラ
グラシア通りにあるカサ・ミラはガウディが54歳の時に設計した建築です。
1906年〜1910年にかけて実業家のペレ・ミラと妻の邸宅として設計されました。
ガウディが手掛けた個人邸宅としては最後の建築で、1984年にユネスコの世界遺産に登録されています。
建築当時、3階がペレ・ミラ夫婦の住居で残りの住居は賃貸マンションとしていて、現在でも4世帯が居住しています。(家賃は1200ユーロだそうで。世界遺産に約18万円で住めるなんて安すぎる…!)
ちなみに「カサ」は「家」という意味で、日本語に訳すと「ミラさんの家」
カサ・ミラの特徴は「直線部分が全くなく、波打つ曲線を持つ」ということ。
ガウディは建築を「生き物」と考え、カサ・ミラは地中海やカタルーニャの雪山をモデルに設計されているそうです。
そして、カサ・ミラを訪れたら絶対に外せないのが屋上テラス!
住宅の最上階にはガウディ博物館(資料や模型を展示している)があり、さらに階段を登ると屋上テラスに出ます。
これまた摩訶不思議な世界観で、細部に至るまで曲線美が広がっています。
カサ・ミラは実用性に欠けるという批判がある一方、「建築というよりむしろ彫刻」と例えられるのも納得の圧倒的な芸術性を持つ住宅でした。
Casa Batlló|カサ・バトリョ
カサ・バトリョもグラシア通りにある建築で1877年に建設され、1904〜1906年にリフォームされました。
こちらの名前もいたってシンプル「バトリョさんの家」
2005年にユネスコの世界遺産に登録されています。
外観の大きな窓があくびをしているように見えることから「あくびの家」、バルコニーの柱が骨のように見えることから「骨の家」などの別名がついています。
ガウディが建築を「生き物」と考えていることがよく伝わるニックネームですね。
カサ・バトリョの特徴は「ガラクタを再利用して造られている」ということ。
外観に用いられているタイルやガラスは地元の会社から譲り受けた廃棄物を使用しています。
外観もさることながら、内部も本当に美しいカサ・バトリョ。
廊下の窓や天井、手すり、ドアノブに至るまでガウディらしさが散りばめられていました。
先ほど紹介したカサ・ミラとも近いので、是非セットで訪れてみてください。
Park Güell|グエル公園
グエル公園はガウディの有名な作品群の一つで、公園からはバルセロナの街が一望できます。
よき友人、そしてパトロンであり施主のグエル伯爵のためにガウディが設計した庭園住宅都市(分譲住宅)で、1900年〜1914年に建設されました。
1984年にユネスコの世界遺産に登録されています。
ガウディとグエル伯爵は「人々が自然と芸術に囲まれて暮らせる、新しい住宅地を作ろう」と計画しましたが、ふたりの進みすぎた発想と自然の中で暮らす価値観が当時の人々には理解されず、結局60軒計画された住宅うち、たった2軒しか売れなかったそうです。
しかもその2軒の買い手はガウディとグエル伯爵。笑
その後グエル伯爵が亡くなり、工事は中断され市の公園として寄付されました。
グエル公園の特徴はカラフルなタイルで彩られた壁、重厚感あふれる石柱など…
総面積約15万㎡の敷地の中には見どころが沢山詰まっています。
ガウディ建築のほとんどは、コンクリートや鉄筋が多用される現代の建築とは大きく異なり、レンガを積んだ「組積構造」です。
ピロティの柱も一見すると石造りに見えますが、中はレンガでできています。
有料エリアのみの観光だと1時間〜1時間半。無料エリアも含めると2時間ほどの所要時間で、見応えたっぷりの観光地でした。(年中観光客で大混雑しているので、余裕を持って訪れることをおすすめします。)