STUDIO tuuli

2023.11.12

スペインの芸術に浸る旅|Barcelona
write|Nagi Aosumi
photo|Nagi Aosumi
Barcelona

10月の上旬に1週間ほどスペインのバルセロナに行ってきました。
ヨーロッパは今までにオーストリア、チェコ、ハンガリーの中欧3カ国にしか行ったことがなかったので、地中海に面する国は今回がはじめてです。

今回はバルセロナ滞在中に訪れた芸術系観光地についてのお話です。

バルセロナの街並み

羽田から約19時間の空の旅。(途中ドバイでトランジット)
あと20分くらいで着陸かなぁという時、飛行機から見えてきたのは全体的に赤茶色で、高度に区画整理された格子状の街並み。

写真を撮り忘れたのでネットから拝借

1850年頃に、産業革命などによる人口増加に対応するために都市拡張計画が始まりました。
「遠くまで見渡せること・風通しが良いこと・太陽光がすべての家に均等に当たること」この3つをコンセプトに整備され、現在のような街並みになったようです。

大学で都市計画やまちづくりについて学んでいたので多少の知識はありましたが、やはり生で見ると迫力がありますね。
空から見るとあまりにも整っているので、スモールワールズ(東京・有明にあるミニチュアミュージアム)でおもちゃの街を眺めているような感覚になりました。

東京に比べると高層建築が少ないので、飛行機からでもサグラダ・ファミリアがしっかり見え、「ようこそ、スペインへ」と出迎えられている気がして、これから始まるスペインの旅がより楽しみになりました。

カタルーニャ美術館

バルセロナに着いた次の日からアート&建築めぐりがスタート。

まず初めに向かったのは、モンジュイックの丘に建つ「カタルーニャ美術館」

教会の壁画(ロマネスク様式)、棺(ゴシック様式)、エル・グレコの絵画(バロック様式)、ガウディ設計の家具(アール・ヌーヴォー様式)など10世紀〜20世紀の美術が楽しめます。
バルセロナの街並みもそうですが、壁画エリアは全体的に赤、茶、金、黒の色味が多い印象。

日本に居るとなかなかロマネスク美術(10世紀末〜12世紀にかけて西ヨーロッパに広まった中世の様式)を拝見することがないので、とても新鮮でした。
カタルーニャ美術館で有名な「栄光のキリスト」も生で拝見しましたが、平面的でデフォルメされたお顔がなんとも可愛らしい…。

スペインでは700年頃からイスラム教が入ってきたため、キリスト教とイスラム教が混ざり合った独特の美術を楽しむことができます。

展示品だけではなく建築自体も圧巻です。

メインドーム内部の装飾

また、カタルーニャ美術館が建つ「モンジュイックの丘」の上からはバルセロナ市内と地中海を一望できます。
カタルーニャ美術館以外にも、モンジュイック城(都市を守る要塞の役目を果たしていた)やミロ美術館、オリンピック競技場、スペイン村などがあり、まる一日十分に楽しめるスポットです。

カタルーニャ音楽堂

別の日に訪れたのはバルセロナ市内に建つ「カタルーニャ音楽堂」
1905年〜1908年にかけて、合唱団の活動拠点として建設されたコンサートホールで、現在でも年間600回を超えるコンサートが開催されています。

1997年には、サン・パウ病院とともにユネスコの世界遺産に登録されました。
(ちなみに滞在したホテルはサン・パウ病院の目の前のHotel Sant Pau。)

ホール中央の天窓は太陽を象徴しているとされ、周りを40人の女性合唱団員が囲んでいます。
なんとも繊細かつ優美…。

さらにホール全体には2,000本を超えるバラの彫刻がちりばめられており、とってもエレガントな空間でした。この音楽堂が「石の庭園」と呼ばれているのも納得。

天窓だけでなくホールの全面にステンドグラスが配置され、自然光が幻想的な効果をもたらします。
音楽を聴かなくても、ただぼーっと座っているだけで感情が揺すぶられる素晴らしい空間です。

ピカソ美術館

スペイン出身の偉大な画家といえば「パブロ・ルイス・ピカソ」!
ゴシック地区にあるピカソ美術館は、ピカソの友人で秘書を務めたジャウメ・サバルテスの個人コレクションとバルセロナ市所蔵のピカソ作品を基礎に1963年に開館しました。

ピカソ作品と聞いて日本人の多くがイメージする「ゲルニカ」はキュビズムの時代の作品です。
ピカソ美術館には3800点以上もの作品が展示されていますが、残念ながら「ゲルニカ」のようなメジャーな作品はありません。
ただ、私たちのあまり知らないピカソの幼少期から晩年までの作品が数多く展示されているので、彼の生涯を知るには十分な機会となりました。

バルセロナでの修行時代>青の時代>薔薇の時代>キュビズムの時代>晩年
作品は時系列で展示されているので、難しく考えることなくピカソ作品の変化と成長を見ることができます。

ラスメニーナス(女官達)1957

所要時間は1時間〜1時間半ほど。
ガウディ建築の観光地よりは空いていて比較的ゆっくり観覧できるので、バルセロナ観光で少し時間ができた際は是非訪れてみてください。